ひと(8) 猫実珈琲店 瀬古恵子 きゃっとtimes No.4

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市外出身の人が祭を知るきっかけになれれば

 豊受神社西組若衆の神酒所のすぐそばでカフェ「猫実珈琲店」を営む。横浜市出身で、2004年春から猫実で暮らす。都内の喫茶店に勤め、08年に「自分の店を持つ」という長年の夢をかなえる。元々猫実という地名にひかれて引っ越し、お店を開くなら猫実と決めていた。ハンドドリップで一杯ずついれるコーヒーに、手作りのチーズケーキやスコーンが人気だ。
 店のオープンは例大祭を間近に控えた5月。4月から開店に向けて準備をしていると、周囲で神酒所の設営、提灯の設置準備などが始まり「なんだか街がすごいことになっている」と驚いた。例大祭があることを初めて知った。どう参加していいのか分からず、寄付だけはして迎えた当日。店の近くを次々と神輿が渡御する。「浦安ってこんな街だったんだ!」。一気に街への興味が湧いた。
 店を開くと、お客さんに話しかけられることが多かった。下町風情の残る街で「好奇心が旺盛な人が多い」と感じた。地元のお年寄りから昔話を聞くのが楽しい。親しくなったお客さんからつながりが広がり、今ではすっかり地域のなじみの店だ。
12年の例大祭からは祭り着をそろえ、豊受神社の宮神輿も担いだ。市外出身のお客さんから例大祭について聞かれることも多い。「市外出身の人が、祭を知るきっかけになれたら嬉しい」。

取材執筆・泉澤多美子