伝統行事と町の歴史を伝えていきたい
2016年の例大祭の後から豊受神社の氏子総代長を務める。総代の役割は「宮司を助けて氏神様を守る」こと。総代長になってから常に神社のことを気にかけるようになった。天候が荒れた翌日などは、境内に異常がないか必ず確認に行くという。
祖父と父は漁師と漁具の製造をしていた。自分も家業を継ぐつもりで育ったが、中学生の時、埋め立て開発のため漁師たちは漁業権を放棄する。高校卒業後、江戸川区の職員になる。
漁師町時代の例大祭で血気盛んな漁師たちが担ぐ神輿の様子は、その迫力に震えるほど怖かった。その一方で憧れもあったという。暴れ神輿と言われた時代と今は違うが、気合の強さは変わらないと思う。
市域は拡大し、街並みも変わった。例大祭はかつての町の面影を伝える大事な行事だ。「伝統行事を残さないと町の歴史が伝わらない」と話す。子どもたちに神輿に触れ、祭りの楽しさを知ってもらいたいと願う。「今回初めて祭りに参加する人たちが次の4年後を待ち遠しく思ってもらえたら、大成功」とほほ笑んだ。
取材執筆・泉澤多美子