ひと(3) 歯科医師 飯田哲也 きゃっとtimes No.2

囃子がなければ祭りじゃない

 祭りを盛り上げるのに欠かせない、お囃子の音。葛西囃子「丸音會」で笛を担当し、副会長を務める。同会は、例大祭で豊受神社・西組若衆が渡御を受け持つ宮神輿に先導しながら演奏する。「祭りが近づくと街の空気がざわついてくる。あの高揚感がたまらないよね」。

 浦安市猫実5丁目にある「飯田歯科医院」の2代目。初めて例大祭に参加したのは、13年間の中断を経て再開された1974年。8歳だった。都内の中学校に進学後はしばらく祭りから遠ざかっていたが、子供ができたこともあり、2000年の例大祭から町会「庚申通り子供会」に参加する。子供のためといいながら、「結局自分が楽しくなっちゃって(笑)」。神酒所に集う多種多様な人と出会い、酒を酌み交わす。わいわいがやがやと騒がしく日々が過ぎていき、祭りが終わると、いつも「おやじの知り合い」がやたらと増える。神輿を担ぐ3日間も楽しいが、祭りの醍醐味は仲間たちと毎日を過ごす準備期間だ。

 08年の例大祭から丸音會に参加している。笛の音が好きで、「年を取っても祭りに関わるなら、囃子」との思いもあった。会長の相馬利夫さんが師匠だ。囃子は大太鼓、締め太鼓、笛、鉦を5人で演奏する。その調和が重要という。

 祭り当日は演奏しながら神輿と一緒に街を練り歩くため、体力も必要だ。歯科医院の昼休み時間は旧江戸川沿いをランニングし、体を鍛えている。

 21年から浦安市歯科医師会の会長に就任し、忙しい日々を送る。笛を吹かずにいると、口の周りの筋肉「口輪筋」が衰えるという。なかなか会の合同練習には参加できないが、「自主練を頑張らなくちゃいけないな」と気合を込めて腕を組んだ。

取材執筆 : 泉澤多美子